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Under Her Skin

例えば普段道を歩く時、私たちは何を考えているだろう。 家の近所の見慣れた道を歩く時と、初めて訪れた場所を歩く時ではその身体感覚に差があるのは当然である。しかし私たちは程度の差こそあれいろいろなことを考えながら歩いているし、いろいろなことを考えながらでも歩くことができる。昨日深爪して足の指にすこし違和感があるな、あそこにあるお店ボロボロだけど営業しているのかな、そういえば帰りにスーパーであれを買いたいな、あの騒いでいるおじさんたちうるさいな、、など、目の前の今見えている風景にさまざまな時間や場所についての個人的な声を重ねている。それはとりとめなく、脈絡なく、ある意味では混乱している。だが、その人個人にとっては全く切実であり、風景と自分との対話はまさにそのようなものであると思う。
「Under Her Skin」はそうした風景の向こう側に重ねられた声についての作品である。
千住に古くからある古民家で展示されている本作品で扱っている事象は千住の戦中戦後、特に皮革産業、空爆、河に囲まれた街での水との関わりについてである。ローカルな過去の出来事は大文字の歴史の前では見過ごされてしまう。大きな視点から見ればあえてそこにスポットライトを当てる必要は無い事柄である。だが、大文字の歴史からは溢れ落ちてしまう個人の声は我々にリアリティを与えてくれる。それが、本当にあったことと感じるために、想像するために、そこには個人の声が必要なのだ。今見えている光景の薄皮をめくったその向こう側にどんな声とイメージがあるのか、それを障子の隙間をすこし開けるように、事実と虚構の隙間から覗き見てもらいたい。

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